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兎から色々駄々漏れてるだけ。
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飯が食える。


だから、ここに居た。

暖かいものを食べると言うことが、体からこわばりを解くなんて初めて知った。

気がついた頃には一人で、人里から離れた、古い社の下に住み着いていた。

腹を壊しながら、色々な草や実を食べて、時には死んだ動物の死骸に食らいついて、毒にやられて寝込むこともあった。
ないよりかはまし、という程度でしかない、これも気がついた時から持っていたぼろ布に包まって、冷や汗を流しながら丸くなる。

風が入り込まないように、土を掘り下げた寝床は汗をかくと土が張り付くけれど、乾けば少し暖かいような気もするので自分から体を擦り付ける。
春から秋ならば、どうにか自分一人でもやっていける。
けれど、冬になればそれももうない。

冬は、里に行く。

畑に人が出払った隙をついて、あるいは夜の闇にまぎれて。
軒に吊るした干物や納屋に保管された食料。

それでも、最低限しか得られない。
あまり多く盗れば追っ手が掛かるのが早くなるし、食料に余裕がない時に雪でも降れば、忍び込んだその足でその土地を離れなければならない。
山に入って足跡を誤魔化さなくては捕まってしまうから。
















ビクッと、体が振るえ、驚きに目が覚めた。
額をぬぐえばうっすらと汗をかいている。
闇の中、月明かりを頼りに室内を見回し、自分がどこにいるのかを必死に確認する。
何度も何度も自問して、目で、手で確かめて安堵した。
ここは、自室だ。

時間をかけて落ち着くと、ついでに年下の子供達の様子を見て回ることにする。
一部屋、二部屋と見て周り、布団を掛け直してやる。
軽く頭を撫でてやれば、冷え切った自分の手もだいぶんと温まってきたようだ。
慣れた廊下は月明かりで十分歩ける。
すべての部屋を回り終え、自室に戻る頃にはすでに嫌な気分も消えていた。

再び自らの寝床に戻り、横になる。
閉じた脳裏にめぐるのは、さきほど触れた兄弟達の熱。
そして思い出すのは自分を抱きしめた人の熱。

ただただ甘やかされるのがどれほど心が温まることなのか知ったのはここに来てから。

腕に抱かれ、頭を撫でられるのがどれほどこそばゆく、それでいて自然と口元が緩んでしまうのを止められないものなのだと知ったのも。



すでに個室を貰えるほどの年月をここで過ごしてきた自分ではあるが、明日は久々に父に頭を撫でて貰おうか。
年長の兄弟達が恥ずかしがって素直に甘えてくれなくなったとこぼしていたから、案外喜んで貰えるかもしれない。
頭に触れる父の温度を思い浮かべれば、自然と口元が弧を描く。
幸せな想像をすると、早く明日を迎える為、意識を手放した。
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